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役員から、資金繰りの関係から金銭の借入をしている又は経費などの立替金が未払の状態となっている。
役員側からみると会社への貸付金となり、相続時にそのまま残っていた場合「貸付金」「未収入金」として相続財産に計上されることになります。
担税力がない貸付金を相続人が承継することになり相続税負担が重くなるため、選択肢が多い相続開始前の段階で対策を考えておく必要があります。
役員が会社に対する貸付金を放棄。
会社は借入金の免除を受けることになります。
繰越欠損金がない場合、この放棄により生ずる課税関係はどのようになるのでしょうか。
放棄をする人以外に株主がいる場合
● 債務免除益に対する法人税が課税される
● 他の株主に対し、贈与税の課税関係が生じる
⇒借入金の免除による、1株当たりの株価上昇分が贈与とみなされる
放棄をする人のみが法人株主の場合
●債務免除益に対する法人税が課税される
※ 債権放棄合意書(確定日付を公証人役場で押印)を作成しておく。
債権放棄後、法人税の申告前に相続が開始してしまうと、免除した事実を証明する資料が手元にないため、債権放棄後に相続が開始している事実を証明する合意書が必要となります。
役員は会社に対する貸付金について、固定資産で代物弁済を受けた。
この取引で生ずる課税関係はどのようになるのでしょうか。
事例1
会社の貸借対照表
・役員借入金 2,000
・固定資産 2,000
(会社保有の賃貸不動産 時価:3,500)
固定資産の時価と簿価との差額 1,500が売却益として認識される
未収債権 3,500/固定資産 2,000
/固定資産売却益 1,500
固定資産の時価と借入金との差額 1,500が役員賞与として認識される
役員借入金 2,000/未収債権 3,500
役員賞与 1,500/
※ 役員賞与 1,500は損金不算入
※ 個人には役員賞与に対する所得税、会社には源泉徴収義務が発生
※ 引渡す固定資産の時価と借入金との差額
⇒ 退職金等として現物給付する総会決議がされている場合、役員退職金として損金算入可
※ 固定資産の土地・建物の区分に応じ、消滅債権額 2,000が消費税の課税対象
事例2
会社の貸借対照表
・役員借入金 2,000
・固定資産 2,000
(会社保有の賃貸不動産 時価:4,500)
固定資産の時価と簿価との差額が売却益として認識される
未収債権 4,500/固定資産 2,000
/固定資産売却益 2,500
固定資産の時価と借入金との差額が役員賞与として認識される
役員借入金 2,000/未収債権 4,500
役員賞与 2,500/
※ 役員賞与 2,500は損金不算入
※ 個人には役員賞与に対する所得税、会社には源泉徴収義務が発生
※ 引渡す固定資産の時価と借入金との差額
⇒ 退職金等として現物給付する総会決議がされている場合、役員退職金として損金算入可
※ 固定資産の土地・建物の区分に応じ、時価4,500が消費税の課税対象
消滅債権額2,000が、時価4,500の1/2未満の金額である
⇒法人役員に対する低額譲渡とみなされ、時価4,500が消費税の課税対象。(消基通10-1-2)
相続税に対する影響
代表者の相続財産が貸付金から固定資産に変更
⇒要件を満たす場合、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用が受けられる。
一方、家賃収入が個人に計上され、所得税及び預貯金等の相続財産が増加する。
役員報酬を減額し、役員借入金などを返済する場合
注意点
■役員報酬を減額する理由が適切か
⇒ 今までの役員報酬が適正でなかったのではないのかという疑義
対策例)
後継者に仕事を承継するため、業務量が減少したなど
■役員報酬の減額により、法人所得が増加
対策例)
自分の役員報酬を減らし、後継者の役員報酬を増加させるなど
■退職金額に対する影響
⇒ 最終月額報酬×勤続年数×功績倍率
役員借入金の清算に長期間かかりますが、役員給与を減額した分、所得税・住民税・社会保険料などを減少させることができます。
会社に対する金銭債権を現物出資する手法。
会社側では借入金が資本の部に振り替わり、債権者側(役員側)では金銭債権が株式に振り替わる。
欠損金がない場合、債権放棄であれば債務免除益に対し法人税がかかってきますが、DESの場合はこの免除益が生じない。
メリット
相続時において貸付金は元本の額の評価となるが、
株式は類似業種比準価額、純資産価額により評価が行われ、評価が下がる可能性がある。
デメリット
資本金等の額が増加するため、均等割りが増加。
注)
会社が債務超過状態にある場合、DES対象債権の時価は、回収可能額で計算します。
・資産(換金価値)450
・金融機関などからの借入金(DES対象外)400
・役員借入金(DES対象)250
450-400=50(役員借入金の回収可能額と考える)
借入金 250 / 借入金 50 いったん時価ベースに振替
/ 債務消滅益 200 差額
借入金 50 / 資本金等の額 50
債務超過会社の場合には、DESは適していない可能性があります。
⇒債務消滅益が発生するため、債権放棄を検討する。
貸付金の評価は、債権回収額を確定し評価しますが、次のように債務者である会社が破綻している状況であれば、相続財産に含めません。
債権金額の全部又は一部が、課税時期(相続時)に
■次に掲げる金額に該当するとき
■その回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるとき
それらの金額は元本の価額に算入しない。
(財産評価基本通達205)
(1)債務者(会社)について次に掲げる事実が発生している場合、その債務者に対して有する貸付金債権等の金額(その金額のうち、質権及び抵当権によって担保されている部分の金額を除く。)
① 手形交換所(これに準ずる機関を含む。)において取引停止処分を受けたとき
② 会社更生法の更生手続開始の決定があったとき
③ 民事再生法の再生手続開始の決定があったとき
④ 会社法の特別清算開始の命令があったとき
⑤ 破産法の破産手続開始の決定があったとき
⑥ 業況不振のため又はその営む事業について重大な損失を受けたため、その事業を廃止し又は6か月以上休業しているとき
(2)更生計画認可の決定、再生計画認可の決定、特別清算に係る協定の認可の決定又は法律の定める整理手続によらないいわゆる債権者集会の協議により、債権の切捨て、棚上げ、年賦償還等の決定があった場合において、これらの決定のあった日現在におけるその債務者に対して有する債権のうち、その決定により切り捨てられる部分の債権の金額及び次に掲げる金額
① 弁済までの据置期間が決定後5年を超える場合におけるその債権の金額
② 年賦償還等の決定により割賦弁済されることとなった債権の金額のうち、課税時期後5年を経過した日後に弁済されることとなる部分の金額
(3)当事者間の契約により債権の切捨て、棚上げ、年賦償還等が行われた場合において、それが金融機関のあっせんに基づくものであるなど真正に成立したものと認めるものであるときにおけるその債権の金額のうち(2)に掲げる金額に準ずる金額
債権の回収可能性の判断基準は、法人税、所得税、相続税のそれぞれに基準が設けられています。
法人税、所得税、相続税で同様の処理が認められるとは限りません。
中小企業の貸借対照表には、役員からの借入金が計上されていることがあります。
役員からの借入金は、原則として、法人では無利息で資金調達でき、返済時期が明確でないことが多く、長期化しがちです。
資金不足から借りたままになって、気が付いたら多額になっていることが多いため、相続開始前に対策を考えておく必要があります。
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